驚かれるかもしれませんが、日本で保険治療に採用されているこれらの合金は、欧米をはじめとした先進諸国では、現在は使用されていません。

今の保険用金属の規格が定められたのは、1960年頃のことです。太平洋戦争が終わってまだ15年くらいしか経たない当時の日本は、貧しい国でした。

保険用金属を決めるとき、歯科学会では、「健康面を考えると金合金以外の金属を使用するべきではない」と国に主張したのですが、国の返事は「言ってることは判るが、国にカネがない。なにか金以外のモノで代用せよ」とのこと。そこで開発されたのが、現在も使われている「金銀パラジウム合金」です。それでも当時の研究者は報告書にこう書いていました。

「総医療費や日本の経済力からみて代用合金の使用もやむを得ないが、その際でも、金銀パラジウム合金をもって代用合金の許容限界とししかもできるだけ早い時期に金合金に移行すべきである。」

日本補綴歯科医学会・歯科用金属規格委員会報告

 

それから50年以上経ちました。当時とは比べものにならないくらい豊かな現代の日本ですが、報告書の言う「できるだけ早い時期」は未だ到来せず、今日も代用合金を使い続けています。金はたった12%他は、銀、銅、スズ、パラジウムなど混ぜ物だらけの合金なのです。

JIS規格では、金パラは「金の含有量12%以上、パラジウムの含有量20%以上、銀の含有量40%以上」とあるだけです。残りのおよそ28%(ほとんどは銅なのですが)のうち数%はどのような金属が混じっているのか良く分かりません。

パラジウムは、特に金属アレルギーの危険性が高く、欧米では人への使用を禁じられています。工業用触媒として使用されている金属なのです。